
賃貸物件の運営を管理会社に委託することで、物件の不動産オーナーの負担は軽減されます。
一方で、不動産オーナーと管理会社との間でトラブルが発生するケースも少なくありません。たとえば、トラブルの例で言うと、入居者からの要望への回答や対応の遅れや不透明な費用請求などの問題が放置されると、入居者の退去や入居率の低下、さらには物件の資産価値の下落につながってしまう恐れがあります。
こうしたリスクを避けるために、不動産オーナー側は管理会社とのトラブルへの適切な対処法や未然に防ぐポイントを押さえておくことが重要です。
本記事では、不動産オーナーが知っておくべき管理会社との代表的なトラブル事例や原因、それに対する解決方法について詳しく解説いたします。

不動産オーナーと管理会社との間で発生しやすいのが次のようなトラブルです。
修繕や清掃業務が遅い・不十分
不透明な管理費用・追加費用請求
担当者の説明不足や連絡不備、態度の悪さ
契約内容とサービス実態の不一致
入居者の意見が反映されない
どのようなトラブルなのかを具体的にご紹介します。
建物の維持管理において、故障や不具合への対応が遅い、あるいは日常清掃が行き届いていないといった問題はしばしば発生します。
たとえば、入居者から水漏れや設備故障の連絡があったにもかかわらず、管理会社が数日~数週間対応せず放置するようなケースです。
その結果、入居者の不満が高まり家賃減額交渉や退去に発展することもあります。
また、共用部の清掃が十分でなくゴミや汚れが放置されていると、入居者から「管理がずさんだ」という苦情が寄せられます。
清掃を委託しているのに実施が不十分、またはチェック体制が不十分な場合に生じやすいトラブルです。
こうした対応不備は入居者満足度の低下につながり、ひいては不動産オーナーの収益に悪影響を及ぼします。
管理会社から提示される請求の内訳が不透明であったり、想定外の追加費用が発生することもトラブルの火種になります。
たとえば、ある修繕工事の費用が他社の見積もりより明らかに高かったり、明細に不審な項目(いわゆる水増し工事の疑い)があるのに写真報告や根拠説明がない場合、不動産オーナーには「なぜ?」という不信感がつのります。
管理経費の内訳が不明瞭だと、入居者からの信頼も失うため、不動産オーナーは管理会社に対し十分な説明を求めることが大切です。
日頃から明細のチェックを行い、不明な点は管理会社に問い合わせるなど、不透明な請求を野放しにしないようにしましょう。
管理会社の担当者の対応が悪いこともトラブルの原因の1つです。
報告すべき事項を伝えなかったり、入居者対応の結果や経過を共有しないでいると、不動産オーナーは物件の状況を把握できないまま、物事が進行してしまいます。
また、担当者の言葉遣いや態度の問題も無視できません。
不動産オーナーや入居者に対して横柄な態度を取ったり、約束したことを守らないといった対応は信頼関係を損ね、トラブルを大きくする要因です。
連絡窓口としての担当者個人に問題がある場合、前述のように担当替えを依頼するのも一つの手です。
いずれにせよ、報告・連絡・相談を怠る担当者や顧客対応の悪い担当者がいる管理会社は、適切な管理サービスを提供できていないといえます。
必要に応じて責任者に苦情を上げ、改善されない場合は管理会社自体の変更も視野に入れるべきでしょう。
契約書に記載された業務内容と実際のサービス内容に差がある場合、それが発覚した時点でトラブルにつながります。
「契約では◯◯となっていたのに、実際にはやっていなかった」という事態は、費用を払って管理会社に依頼した不動産オーナーに対する裏切り行為に他なりません。
契約上の約束と現実のサービスに乖離がある場合、管理受託契約の範囲に対する認識のズレや管理業務内容の提示不足が主な原因であることが多いです。
不動産オーナー・入居者・管理会社の間でサービスの範囲について齟齬があると、「言った/言わない」の水掛け論にも陥りかねません。
防止策として、国土交通省は管理受託契約の締結時に、業務内容等を明確に記載した書面の交付を求めています(詳細は最新の法令・告示・ガイドラインをご確認ください)。
管理受託契約を締結したときは、管理受託契約の相手方に対し、確定した契約条件を当事者同士で確認できるよう、相手方に対し、遅滞なく、必要な事項を記載した書面を交付しなければなりません。
契約締結前の重要事項説明書とは別で、締結時に新たな書面の交付が必要です。
管理会社には契約内容を丁寧に説明し履行する責任があるため、サービス実態が契約とかけ離れている場合、不動産オーナーは管理会社に改善を求めるよう要望しましょう。
マンションやビルの管理において、入居者の声を十分に聞かず運営に活かしていないこともトラブルの元になります。
管理会社や管理組合が、入居者からの要望を形式的に受け流したり意見募集のアンケートを怠ったりすると、入居者は「自分たちの意見が全く反映されていない」と感じて不信感や対立に発展しやすくなります。
対策として、定期的にアンケート等で入居者の意見を収集するなど、可能な限り入居者の意見を意思決定に反映する仕組みを設けるなど工夫が必要です。
管理会社も入居者とのコミュニケーションを大切にし、透明性のある情報開示と説明責任を果たすことで、良好な関係を維持できるでしょう。

不動産オーナーと管理会社との間で起きるトラブルはさまざまですが、原因を紐解いていくと次の3つが主な原因であることが多いです。
管理会社・担当者の情報共有や説明不足
契約内容があいまい・契約時の確認不足
不動産オーナーと管理会社の意識のずれ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
管理会社側の対応がずさんで本来伝えるべき情報を十分に共有していない場合、不動産オーナーや入居者との間で認識の齟齬が生じ、トラブルに発展します。
この原因により生じやすい主なトラブル例は次の3つです。
修繕工事の内容や費用を十分説明しないまま進めてしまう
緊急連絡先や対応手順を入居者に周知していない
将来の修繕計画や費用見通しが甘く、入居者に過大な負担や不安を与える
状態報告書が届かなかったり空室リフォームの進捗連絡がないような状況では、不動産オーナーは物件の現状を把握できず不安を抱える原因になります。
さらに、対応の遅さも問題です。
「問い合わせをしても返信が遅い・来ない」ようであれば、社員教育や管理体制が行き届いていない可能性があります。
管理会社に管理を任せる際は、担当者の経験や社内のサポート体制についても確認し、信頼できる会社か見極めることが大切です。
管理受託契約の内容があいまいなままでは、業務範囲外の対応を巡る争いや追加費用の請求などのトラブルが発生しやすくなります。
たとえば契約書で緊急対応時間について定めておらず深夜のトラブル対応を巡って揉めたり、定期清掃の範囲・頻度を曖昧にしたせいで「ここまでやるとは思わなかった」という不満が出たりするケースです。
また、退去時の原状回復費用や広告料負担など金銭面の取り決めを怠った結果、費用負担を巡って紛争に発展する例もあります。
契約段階で不動産オーナーの確認不足が原因となってトラブルになることも多いため、契約書の条項一つひとつを丁寧にチェックし不明点は契約前に解消しましょう。
「何をどこまで管理会社に任せ、どこから先は不動産オーナーの責任なのか」「通常発生し得る費用項目とその負担者は誰か」「契約解除の条件」等について、お互い認識の齟齬がないよう契約時に明確に合意しておくことで、後々のトラブルを大幅に減らすことができます。
不動産オーナーと管理会社で物件管理に対する重視点が異なることも、トラブルの大きな原因の1つです。
一般的に不動産オーナーは「資産価値の維持向上」や「入居者の満足度」を重視する傾向があります。
一方で、管理会社は収益性や業務効率を優先するあまり、必ずしも不動産オーナー目線・入居者目線に立った対応をしない場合があります。
こうした管理会社では営業担当者が自分の成績しか見ておらず、結果的に入居者の不信感を招き、不動産オーナーの信用も傷つけかねません。
定期報告や打ち合わせの場でお互いの認識をすり合わせ、不動産オーナーの方針・意向を管理会社が正しく理解して業務に当たるよう促すことが重要です。
もし、何度伝えても管理会社の姿勢が改善されない場合は、契約更新時期に見直しを検討することも視野に入れましょう。

不動産オーナーと管理会社との間でもしトラブルが発生した場合の対処法は主に次の5つです。
証拠を残す(メール・写真・契約書など)
担当者ではなく責任者へ報告する
契約内容を再確認する
第三者(不動産協会・専門家)へ相談する
セカンドオピニオン
それぞれの対処法について具体的に見ていきましょう。
トラブルの内容を客観的に示すために、証拠をしっかり残すことが第一歩です。
やり取りは可能な限り口頭ではなくメール等の書面で行い記録を残します。
また、不備やトラブルの現場を示す写真や動画、契約書の該当条項のコピーなども保存しておきましょう。
管理会社への問い合わせ日時や相手の回答内容はメール履歴で残し、修繕箇所の状態は写真に収めておくことで、後の交渉で有力な客観的根拠となります。
証拠が揃っていれば、管理会社側も問題を無視できなくなり、解決に向けた話し合いがスムーズに進みやすくなります。
窓口の担当者に伝えても改善が見られない場合には、部署の責任者や上司に直接状況を報告することが有効です。
管理会社に連絡して担当者の上司や苦情受付窓口に相談し、具体的な問題点を挙げて改善を求めましょう。
「契約通りに清掃が行われていない」「担当者の対応が悪く入居者からクレームが出ている」等、事実に基づく理由を示します。
現場レベルで解決しない問題でも、上席へエスカレーションすることで迅速な対応や是正策が講じられる可能性が高まります。
管理会社内の情報共有不足で対応が滞っているケースもあるため、責任者に状況を伝えることで社内チェックが働き、問題解決に向けた行動を引き出しやすくなるでしょう。
管理会社に責任ある対応を求めるには、契約内容の再確認が欠かせません。
契約時に取り交わした管理受託契約書を読み返し、管理業務の範囲や管理手数料、緊急対応の体制、報告義務などの条項をチェックします。
契約で明示されたサービスが提供されていない場合や、契約にない追加費用を請求されている場合は、その契約条項を根拠に管理会社へ改善要求を行います。
たとえば「24時間対応を謳っていたのに夜間連絡がつながらない」といったケースでは、契約上のサービス内容と実態の乖離を指摘できます。
契約書を再確認することで、管理会社に取るべき責任を再認識させ、建設的な交渉の土台を築くことが可能です。
トラブルの解決に限界を感じたら、第三者の力を借りることも検討しましょう。
宅地建物取引業協会や公益財団法人マンション管理センターなど、不動産管理に関する相談窓口では公正な立場でアドバイスを受けることができます。
管理会社が宅建協会に加盟している場合、協会の相談員が不動産オーナーと管理会社双方の主張を整理し問題解決に向けた話し合いを仲介してくれます。
また、トラブルの内容によっては弁護士やマンション管理士など専門家への相談も有効です。
国土交通大臣指定の「住まいるダイヤル」や自治体の住宅相談窓口では、不動産取引や賃貸トラブルに関する一般的な相談に応じており、必要に応じて適切な機関や制度を紹介してもらえます。
第三者の助言を仰ぐことで主観にとらわれない解決策が見いだせるだけでなく、場合によっては専門家から管理会社へ指導や是正勧告がなされることもあります。
自力での解決が難航する場合は早めに外部の力を借り、事態の長期化や深刻化を防ぎましょう。
現在依頼している管理会社の対応やサービス内容に疑問がある場合、第三者の視点によるセカンドオピニオンを活用する方法もあります。
セカンドオピニオンとは本来医療分野の用語ですが、不動産管理の世界でも専門知識を持つ中立的な立場の第三者がアドバイスや評価を行うサービスを指します。
特定の管理会社に偏らない立場で現状の管理状況や契約内容、費用の妥当性を客観的にチェックしてもらえるため、「今の管理内容やコストは適正か」「改善の余地はないか」といった点を見極めるのに役立ちます。
セカンドオピニオンによって得られた客観的な評価をもとに、必要に応じて管理会社に改善を求めたり、思い切って管理会社の変更を検討したりする判断材料にしましょう。
専門的な知識が必要な不動産管理だからこそ、信頼できる第三者の助言を積極的に活用することが、結果的に賃貸経営の安定化につながるはずです。

トラブルが起きてしまった場合は仕方ありませんが、不動産オーナーとしてはトラブルが発生せずスムーズに物件管理が行われることが理想なはずです。
貴重な時間とお金を使ってしまうような無用なトラブルを未然に防ぐためにも以下のポイントを予防策として押さえておきましょう。
契約前に委託範囲と料金体系について合意する
事前に複数社の実績や評判を比較して選んでおく
定期的なチェックとフィードバックを行う
各予防策のポイントについて詳しくみていきましょう。
管理会社と契約を結ぶ際は、業務範囲と料金体系を具体的に取り決めておくことが不可欠です。
口頭の説明だけでなく契約書において、物件の定期点検や清掃・修繕対応など管理業務の内容と責任範囲、緊急時の対応手順、そして管理手数料やその他発生し得る費用項目を明確に定めます。
事前に業務範囲と料金体系を明文化し、不動産オーナーと管理会社双方が認識を共有しておくことで、後から「そこまで対応してくれると思わなかった」「聞いていない費用を請求された」といった食い違いを防げます。
不動産管理受託契約を十分に理解せずに締結すると、以下のような不利益を被る可能性があります。
期待したサービスが受けられない
管理費以外に様々な費用負担が発生する
解約時に高額な違約金や手数料がかかる
トラブル発生時の責任区分が曖昧で解決が難航する
こうしたリスクを避けるためにも、契約前の段階で業務内容・料金について不動産オーナーが納得いくまで確認し合意することが重要です。
また、契約期間や解約条項(解約の通知期限や違約金の有無)についても明確に取り決め、将来的に管理会社を変更する際の条件も把握しておきましょう。
マンションやビルの管理では、収支状況や修繕計画の情報を可能な限り不動産オーナーや入居者(区分所有者)に開示し透明化することもトラブル防止に有効です。
マンションでは毎月、管理費や修繕積立金を入居者から集めていますが、集金したお金の使途や貯蓄状況、大規模修繕の予定をオープンにすることで、「管理費を勝手に流用されていないか」「必要な修繕がちゃんと計画されているのか」といった入居者の不安を解消できます。
管理経費の内訳が不明瞭だと入居者からの信頼を失うため、月次や年次で収支報告書を提示したり、長期修繕計画を共有したりする工夫が望まれます。
透明性を確保した運営により、管理会社への不信感や費用面のトラブルを未然に防ぎましょう。
管理会社を選ぶ際には、一社に絞らず複数社のサービス内容や実績、評判を比較検討することが大切です。
他社と比較することで、各社の提供サービスと料金が妥当かどうか判断しやすくなります。
管理手数料やサービス範囲は会社・地域・物件規模等で大きく異なります。複数社の提案・見積もりを比較し、費用対効果を総合評価しましょう。
一社の提示だけを見て高いか安いか判断するのではなく、複数の管理会社から見積もりや提案を取り寄せ、募集力(空室を埋める力)や対応品質、報告体制、費用対効果などを総合的に比較しましょう。
また各社の口コミや実際に管理を任せている不動産オーナーの声も参考になります。
同じ地域で似た規模の物件を所有する不動産オーナー仲間がいれば、現在支払っている管理費やサービス内容について意見を聞いてみるのもいいでしょう。
複数社を検討することで、サービスの質とコストのバランスについて客観的な物差しが得られ、結果的に最適な管理会社選びにつながります。
契約後もすべてを任せきりにせず、定期的に管理状況をチェックしフィードバックすることが望ましいです。
具体的には、管理会社からの定期報告(月次の収支報告や物件点検報告など)に目を通し、疑問点があれば都度質問・改善要望を出すようにします。
管理会社によっては不動産オーナー向けに半年に一度など定期面談を実施し、空室状況や修繕履歴、収支状況を共有しているところもあります。
こうした場を活用して、物件の課題や改善策について意見交換し、必要な対応を早めに依頼しましょう。
また、日常的にも物件を見に行った際に清掃状況や設備の状態を確認し、「ゴミ置き場の清掃頻度を増やしてほしい」「共用廊下の電球切れは早めに交換してほしい」など気づいた点があれば管理会社にフィードバックします。
定期的なチェックとコミュニケーションにより、小さな不備の段階で軌道修正ができ、入居者のクレームに発展する前に手を打つことが可能です。
管理会社側にとっても不動産オーナーからの適切な指摘はサービス向上につながるため、双方向の意思疎通を図りながら良好な関係を維持することが、トラブル防止の上で重要となります。

管理会社に何度依頼しても改善が見られない場合や会社選定自体に課題があると感じるときは、管理会社の変更を選択肢として検討しましょう。
信頼できない会社に任せ続けると、入居者が不満を持って出ていったり、空室が増えたり、建物の価値が下がったりする悪い結果が続いてしまいます。
早めに決断することで、損失を防げるのです。
変更を考えるときは、「解約の条件」や「違約金」、連絡をする期限などを調べておくことが大切です。
そのうえで、複数の管理会社から見積もりや提案を取り寄せ、以下のポイントを比べてみましょう。
連絡が早いかどうか
説明がわかりやすいかどうか
費用がはっきりしているかどうか
入居者への対応の良さ
空室を埋める力
今の管理会社で不満に思っている点が改善できるかを重視すると良いです。
変更時は、入居者・関係事業者への周知と、書面・データ類の精緻な引継ぎを確実に行うことが重要です。
できれば古い会社と新しい会社の両方が関わり、情報が正しく受け渡されるようにしましょう。
入居者には「なぜ変更するのか」「今後の連絡先はどこか」を伝えておくと混乱が少なくなります。

管理会社とのトラブルは決して避けられない運命ではありません。
不動産オーナーが適切な知識と対応策を身につけ主体的に行動すれば、トラブルを未然に防ぐことも解決に導くことも可能です。
万一問題が起きた際も、感情に流されず証拠を残し、契約を根拠に冷静に交渉する姿勢が大切です。必要に応じて第三者機関への相談や管理会社の変更といったオプションも躊躇なく検討しましょう。
とよしき不動産では、そういった管理会社とのトラブルによる管理会社の変更、セカンドオピニオンのご相談などにも対応しております。
お気軽にご相談ください。

※本内容は2025年9月時点での情報になります。
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