
「所有している事業用不動産を手放すことにしたが、具体的に何から始めればよいのか分からない」
「登記や税金、賃貸借契約の整理など、考えることが多くて不安」
そうしたお悩みを抱えていませんか?
居住用住宅の売却に比べ、事業用不動産の売却は手続きが複雑です。
登記、抵当権、賃貸借契約の整理など、事前に把握しておくべきことは多岐にわたります。
また、売却によってどのような税金や費用が発生するのかも気になるところでしょう。
この記事では、事業用不動産を所有するオーナー様に向けて、事業用不動産ならではの違いや売却の流れや必要な手続き、発生する税金や費用を整理して解説します。
スムーズな売却を実現するためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

事業用不動産を売却する際は、不動産売却で起こり得るリスクを避けるために、あらかじめ対象不動産の状況を整理しておくと良いでしょう。
事業用不動産を売却する前に、以下の項目を把握しておくとトラブル防止につながります。
不動産を売却するには、登記簿の名義が売主本人となっている必要があります。
名義が異なる場合は売却手続きを進められないため注意が必要です。
特に相続財産の場合は、相続登記が問題なく完了しているか確認しておきましょう。
ローンを利用して購入した不動産には金融機関による抵当権が設定されています。
売却前に抵当権の有無を確認し、残っている場合はローンを完済して抹消登記を行う必要があります。
自治体によっては、土地や建物に「用途地域」や「建築制限」などのルールが設けられている場合があります。
買主が購入した不動産を目的の通りに利用できるか確認するためにも、ルールの確認が必須です。
賃貸物件を売却する際は、買主に対して入居率や契約内容などの情報を伝えたり、貸借人に対してオーナーチェンジを通知したりする必要があります。
売却前に賃貸状況を整理しておくと良いでしょう。
土地の売却にあたり、売主は土地の範囲や境界を買主へ明示する義務があります。
売却後に発生する近隣トラブルを防止する観点から、あらかじめ境界の明確さを確認しておきましょう。

事業用不動産の売却は、以下の5つのステップで進めます。
ステップ①査定依頼
ステップ②不動産会社との媒介契約の締結
ステップ③売却活動
ステップ④買主との売買契約の締結
ステップ⑤物件の引き渡し
各工程をひとつひとつ見ていきましょう。
まずは不動産会社へ対象不動産の査定依頼を行います。
複数社の不動産会社へ査定を依頼し、対象不動産の価格相場を把握します。
ただし、不動産会社による査定額はあくまでも一つの目安です。
たとえ査定額が高かったとしても、実際には査定結果と同じ価格で売却できるとは限りません。中には売却活動を続けても買主が見つからず、価格の見直しを行うケースもあることを押さえておきましょう。
なお、査定の際は「収益還元法」「簿価との比較」「近隣相場との比較」などの算出方法によって不動産の価格や売却のタイミングを見極めます。
それぞれの算出方法の概要は以下の通りです。
収益還元法 | 対象不動産が将来的に生み出すと期待される収益に基づいて不動産の価格を算出する方法 |
簿価との比較 | 対象不動産の簿価(不動産を取得した価格)と時価(現在の市場価格)を比較して売却益や損失の参考にする方法 |
近隣相場との比較 | 対象不動産の近隣にある不動産の取引事例と比較して価格を算出する方法 |
続いて、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の種類があります。
それぞれの契約方法の主な特徴は以下の通りです。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
特定の不動産会社1社のみに依頼する媒介契約 | 特定の不動産会社1社のみに依頼する媒介契約 | 複数の不動産会社に依頼する媒介契約 |
売主自身で買主を見つけても契約可能だが報告義務あり | 売主自身で買主を見つければ契約可能 | 売主自身で買主を見つけることも自由 |
契約方法によって、依頼できる不動産会社の数や、売主が自分で見つけた買主との取引の可否に違いがあります。
このほかに、不動産会社から売主に対する報告義務や、契約の有効期間などにも違いがあります。
取引の自由度や不動産会社によるサポートの手厚さなどを比較検討しながら、契約方法を検討すると良いでしょう。
不動産会社からサポートを受けながら売却活動を進めます。
具体的には、不動産情報ネットワーク「レインズ(REINS)」への物件情報登録のほか、折込チラシやポータルサイトへの広告掲載、店頭での物件情報の掲示といったさまざまな手法で購入希望者を募ります。
売却活動の手法は不動産会社によって異なるため、購入希望者へ多彩な手法で働きかけられる業者を選ぶことが大切です。
購入希望者が見つかったら、問い合わせに対応したり、内覧を実施したりしながら交渉を進めていきます。
売主・買主の双方が希望する条件をすり合わせて合意を目指します。
売主・買主が不動産売却に合意したら、売買契約を締結します。
不動産会社が「重要事項説明書」や「不動産売買契約書」などの書類を作成し、契約締結の手続きを進めます。
事業用不動産の売却ではこのほかにも、以下のような書類を用意する必要があります。
重要事項説明書
不動産売買契約書
登記識別情報(登記済権利書)
土地測量図や境界確認書
固定資産税評価証明書
建物の図面 など
書類によっては取得に1週間~1ヶ月程度の時間がかかる場合があるため、契約手続きへ向けて余裕を持って準備を進めておきましょう。
引き渡し前に買主の立ち合いによる確認を行い、物件の状態が契約内容と異なっていないか最終的なチェックが実施されます。
不動産会社と協力しながら手続きを進めましょう。
買主による決済が完了したら、物件の鍵や関連書類などを買主へ引き渡しします。

事業用不動産を売却すると、以下の税金が発生する可能性があります。
譲渡所得税
登録免許税
印紙税
法人税(法人が売却した場合)
どのような税金を納める必要があるのか、一つひとつ見ていきましょう。
個人が事業用不動産を売却して売却益が出た場合は、「譲渡所得税」を納める必要があります。
譲渡所得税は、売却価格から不動産の取得費と譲渡にかかった費用を差し引き、税率を掛けることで算出されます。
そのため、売却益が出なかった場合、譲渡所得税は発生しません。
ローンを利用して購入した不動産に対して抵当権抹消登記を行う場合は、土地1筆につき1,000円の「登録免許税」を納める必要があります。
不動産のローンを完済した上で、法務局で登記手続きを行うと抵当権が抹消されます。
なお、抵当権抹消登記の手続きを司法書士などの専門家へ依頼する場合は、登録免許税に加えて専門家へ支払う報酬が発生する点に留意しましょう。
不動産売買契約を締結する際、契約書に収入印紙を貼付して「印紙税」を納める必要があります。
不動産売買契約書は課税文書の中でも「第1号文書」に該当し、印紙税の金額は記載された契約金額によって変わります。
例えば、契約金額が「500万円を超え1千万円以下」の場合は1万円、「1千万円を超え5千万円以下」の場合は2万円、「5千万円を超え1億円以下」の場合は6万円です。(売買契約書作成時の印紙税額表を参照
印紙税額について詳しくは国税庁のサイトでご確認ください。
法人が事業用不動産を売却して売却益が出た場合は、売却益と事業の利益を合わせて税額を算出し、「法人税」を納める必要があります。
その際、売却益は「営業外収益」または「特別利益」として計上されるため、決算に影響することを押さえておきましょう。
特に建物を売却するケースでは、減価償却によって建物の帳簿価格が下がり、一般的に売却益が大きくなる傾向にあります。
こうした背景から、法人による事業用不動産の売却にともなう税務は複雑になるので、税務の専門家である税理士へ相談して正確に対応することが重要です。

事業用不動産の売却では、以下の諸費用が発生する可能性があります。
仲介手数料
立ち退き費用
建物の解体費用
諸費用について一つひとつ見ていきましょう。
仲介手数料は、売主・買主を仲介した不動産会社に対して支払う手数料です。
成功報酬として売買の成立に対して支払う手数料であるため、不動産会社への査定依頼や契約の段階では発生しません。
上限額は売買価格によって異なり、宅地建物取引業法で以下のように定められています。
売却価格 | 上限額 |
200万円以下の部分 | 売却価格の5%以内 |
200万円超400万円以下の部分 | 売却価格の4%以内 |
400万円超の部分 | 売却価格の3%以内 |
立ち退き費用は、売却する事業用不動産に貸借人がいる場合に、貸借人に退去してもらうためにオーナーが支払う費用です。
金額は賃貸物件のオーナーと貸借人の合意によって決まるため、法的に明確なルールはありません。
ただし、一般的には「家賃の数カ月」といった形でまとまった金額を支払うケースが多くなっています。
建物の解体費用は、事業用不動産の建物を解体して土地を売却する場合に、工事業者へ支払う費用です。
建物の規模や構造の種類によって費用が異なります。
建物の規模が大きいほど費用が高くなり、また構造が「木造<鉄骨造<RC造」の順に費用が高くなる傾向にあります。

事業用不動産の売却を成功させるには、以下の3つのポイントが重要となります。
信頼できる不動産会社に依頼する
事前に貸借人への通知を行う
契約不適合責任など諸リスクについて理解しておく
失敗しないためにも、一つひとつポイントを確認していきましょう。
事業用不動産を売却する場合は、賃貸マンション・ビル・店舗・事務所をはじめとした事業用不動産の売却実績が豊富な不動産会社へ依頼すると良いでしょう。
事業用不動産の売却では、物件の収益性や用途をはじめとした多角的な視点での評価が求められるため、専門的な知識と経験が不可欠です。
法律や税務の専門家とスムーズに連携しやすい、信頼できる不動産会社へ依頼すると良いでしょう。
事業用不動産を売却する前に、必ず貸借人に対して通知を行いましょう。
不動産のオーナーチェンジにともない、賃料の支払先が変わるといった重要な変更が生じる場合があります。
その際は、貸借人の混乱を避けて信頼関係を維持するために、主な変更点について書面などで丁寧に説明することが大切です。
事業用不動産を売却する際は、「契約不適合責任」のリスクを十分に認識しておく必要があります。
契約内容と事業用不動産の現況が異なる場合は、売主が責任を負うことになり、場合によっては損害賠償請求や契約解除となるおそれがあります。
契約不適合責任のリスクを避けるためにも、不動産売買契約を締結する際に買主への告知義務を徹底するとともに、両者で合意を得ることが重要です。
また、事業用不動産の売却では契約不適合責任以外にも以下のような原因によって売却後のトラブルが懸念されます。
境界未確定
違法建築
登記内容の齟齬
買主との認識違い
権利関係の未整理
こうした原因による契約関係・権利関係のトラブルを避けるためにも、売却前の事前調査を徹底しましょう。
また、経験豊富な不動産会社に依頼し、専門家によるアドバイスや支援を受けながら売却活動を進めるようおすすめします。

最後に、事業用不動産の売却に関する、よくある質問をご紹介します。
事業用不動産を売却する前に、不動産オーナーの方はぜひ参考にしてみてください。
A.個人が事業用の不動産を売却した場合は確定申告が必要です。
売却翌年の2月16日~3月15日の期間に確定申告の手続きを行い、納税する義務があります。
忘れずに手続きを行い、正確に税金を納めましょう。
A.事業用不動産の税金や諸費用を抑えるには、「譲渡所得の特別控除」「損益通算」「決算期調整」「特定資産の買換え特例」などの方法があります。
譲渡所得の特別控除 | 特例によって譲渡所得の金額計算において特別控除が受けられる制度 |
損益通算 | 事業年度内の赤字(損失)と売却益(利益)を相殺する方法 |
決算期調整 | 売却時期を決算期以降にずらして調整することで課税のタイミングを遅らせる方法 |
特定資産の買換えの課税特例 | 事業用の土地や建物など一定の買換えを行う際に、譲渡益に対する課税を圧縮記帳によって繰り延べできる制度 |
これらの方法を上手に活用して、税金や諸費用による負担を少しでも抑えられるよう工夫してみましょう。
A.事業用不動産を売却して利益が出た場合、売却益は課税対象となります。
売却益を算出するためには、建物の減価償却を考慮して取得費または帳簿価額を計算することが必要です。
その際、減価償却の対象となるのは建物のみで、具体的には一戸建てやマンションなどが該当します。
土地は価値が減少しない資産とされていることから、減価償却の対象とならない点を押さえておきましょう。
ここまで、事業用不動産を売却する流れや、売却で発生する税金や諸費用、売却を成功へ導くポイントなどをお伝えしました。
事業用不動産の売却を成功させるためには、専門知識と経験が求められることから、信頼できる不動産会社へ依頼することが重要です。
賃貸マンション・ビル・店舗・事務所といった事業用不動産の売却に強みを持つ不動産会社へ相談し、専門家と連携しながら売却活動や各種手続きを進めましょう。
千葉県東葛地域で事業用不動産の売却を検討している方は、どうぞお気軽にとよしき不動産へご相談ください。
地域に根差した不動産仲介サービスを提供しており、事業用不動産の取引事例もございます。所有している事業用の物件や土地についてお悩みの不動産オーナー様からのお問い合わせをお待ちしております。

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